山口県におけるイノシシによる農林業の被害は、平成22年度298ヘクタール、被害総額3億71百万円と、野生動物の中では最大の金額・面積の被害となっています。特に、水稲では2億38百万円と、最も大きな被害にあっています。もちろん、私達の活動フィールド大富集落も例外ではなく、水稲をはじめ畑作野菜など大きな被害にあっています。
更に、イノシシに合わせて猿の被害も多く、高齢化した当地区では生産意欲の低下など、深刻な事態を招いています。そこで、地元自治会や猟友会が様々な対応策を講じていますが、なかなか効果が上がる気配がありません。特に、高齢化する集落では、新規に罠免許や狩猟銃の免許を取得することは困難であり、その対策に苦慮しているところです。

そこで、私達NPO法人やまぐち里山環境プロジェクトでは、平成23年度2名のスタッフが狩猟罠免許を取得し、森の番人チームを結成しイノシシの駆除活動を開始しました。
初年度の昨年は不慣れなこともあり数頭の捕獲にとどまりましたが、平成25年度は有害駆除期間(4月1日~10月31日)だけで、12頭の捕獲を行い、ある程度の成果を上げたと思います。特に、一区域で親子のイノシシを複数頭数単位で捕獲した場合、その後の被害は激減し、想像以上の効果を上げています。

現在は捕獲箱罠5基で、近隣に出没するイノシシの捕獲に全力を挙げています。特に今年度は両開き扉の箱罠を導入し、捕獲頭数の増加を見込んでいます。また、今後の計画としては、くくり罠を20基程度導入し、捕獲頭数の増加を見込んでいます。更に、捕獲後のイノシシ肉の有効活用について検討をしたいと考えています。

イノシシ罠の設置ポイント

  1. 箱罠は直接人の目に触れる場所に設置しない。
  2. 畑などに設置する場合は、圃場の角に設置する。
  3. イノシシはジメジメした場所を好みますが、箱罠は乾燥した獣の通り道に設置する。
  4. とにかく小まめに見回りをする。(餌の不足や針金トラブルの早期発見)

            

餌のポイント

  1. 新鮮な米糠を使用する。
  2. 米糠の上に古米や籾を置く。
  3. ドングリやクリの実を置くのも効果がある。
  4. サツマイモやカボチャもよいが、タヌキの被害を受けやすい。
森の番人の道具
  • 猟具・・・・私たちは箱罠をしようしてます。
  • 帽子&ベスト&腕章
    狩猟をする時は必ず帽子、ベスト、腕章を着用しておこないます。これは他の人から認識をしてもらうためです。
  • わな猟標識
    「わな」を架設する箇所へ通じる入り口付近と猟具に標識を設置します。
  • 許可書等
    「わな」を見に行く時等は、必ず許可書等を持って行きます。
 

                      

                                          

イノシシの解体

解体① 

まずは、川等でイノシシを浸けて放血&肉を冷たくさせます。この時に金たわしで表面を洗っておこう!
※今回のイノシシは推定15㎏

解体②

イノシシの皮剥ぎ①
まずは足から始めます。皮を引っ張りながら切りますが、滑りやすいので注意して剥がしてね。

解体③

イノシシの皮剥ぎ②
次にお腹の中央を切って剥がします。オスの時は尿管があるので切らないように注意!

解体④

イノシシの皮剥ぎ③
最後は背中の部分を剥がします。皮と脂肪の間を上手に切って、なるべく脂肪が残るように!

解体⑤

次は部分に分けます。足を切り落とす時は、触って骨の形を確認しながら切り、ある程度肉が切れたら、脱骨させます。外れた骨の間にナイフを入れて切り離します。

解体⑥

ロース肉をとる時は、背骨からナイフを入れて徐々に切り落としていきます。

 

解体⑦

解体したモモ肉、ウデ肉とロース肉です。今回は、小さいイノシシだったのでお肉とりました。また、猟師歴50年の松本和夫さんに、ご指導を頂きました。ここに厚く御礼申し上げます。

※解体については、鳥取県の生獣肉衛生管理ガイドラインにも掲載されていますので、ご参照ください。
http://www.pref.tottori.lg.jp/243047.htm